最近、同じADHDの友人・Kちゃんと話していて気づいたことがあります。
それは、発達障害あるあるの「偏食」は、人によってその理由が違うということ。
たとえば、わたしはずっと、自分には食べ物の好き嫌いがないと思って生きてきました。
しかし、「味の好み」で嫌いなものはなくとも、実は「食感」で食べられないものはたくさんあります。
中華飯などのあんかけやオブラート、ボンタン飴などのトロッとした舌触りのものが食べられません。
(もしどうしてもあんかけを食べなきゃいけなかったら可能な限りはがして食べる)
一方その友人は、味で食べられないモノ自体が多く、しかもその理由も独特でした。
発達障害の診断を受けていなくとも、好き嫌いが多く外食の機会で困っているかたや、偏食持ちのこどもを育てて悩んでいるお母さんたちもたくさんいるはず。
そんなみなさんに役立てる情報になればうれしいです。
もくじ
ADHDの特徴からみる、好き嫌いへの関係性
まずは、「複雑な味」への好みの違いから脳のつくりを知ろう!
私、カレーとかも「一点食べ」するんですよ!
Kちゃんいわく、「海鮮丼は自分で一つずつ”寿司”にして食べられるからいいけど、牛丼は肉と玉ねぎが混ざってるからムリ」なんだとか。
カレーなどの具材がたくさん入っている料理は、ジャガイモだけ、にんじんだけ、といった風に「一点食べ」をするそうです。
そもそも、味覚は五味と呼ばれる5つの味で構成されています。
- 味覚を構成する5つの要素
- 甘味(甘いもの)
- 塩味(しょっぱいもの)
- 苦味(コーヒーなどに感じる苦味)
- 酸味(すっぱいもの)
- うま味(だしなどから摂るコク)
そして、この味覚を感じる細胞はそれぞれ別々のものであり、脳の味覚を感じる中枢部分に独立した神経で繋がれているそうです。
ADHDは「精神障害者福祉手帳」に区分されることもあり、うつ病などの精神病と混同されることも多い障害です。
しかし、実はその原因は脳の神経伝達物質の問題と言われることも多いのです。
つまり、食べ物の好き嫌いなどのこだわりも、気分や性格ではなく、脳機能に起因しているとも考えることができるのではないでしょうか?
また、同じ脳機能のレベル低下でも、かならずしも似たように表面化するとは限らないのです。
脳が「いろんな味」を同時に求めている。(=マルチタスク)
みたいな違いなのかもしれないね!
ちなみにわたしは、こういった記事を書くときなども、構成を考えてアイキャッチ(表紙画像)を作ってHTML(サイトのデザイン部分)を工夫して…と色々な作業を同時進行でやらないとこなせない、完璧なマルチタスク派です。
(今日はこの作業だけやる!というのは超ニガテ)
「飽きっぽさ」と「過集中」、相反する状態が同居するADHDの中
ADHDの特徴として、「飽きっぽさ」がよく挙げられます。これは、興味があることしか集中できないこと、興味の対象が次々と移り変わることが原因です。
しかし一方で、当事者たちにとってはあるあるですが一般的にはあまり認知されていない「過集中」という特徴も同時に存在します。
つまり、ハマったものばかりを一定の期間食べ続ける、飽きたらまた次のモノへ…といったブームを繰り返しやすいのです。
(これは趣味や対人関係の感情なんかにもあてはまりやすいです)
わたしの場合は、1食のうちに同じ味の料理しかないとすぐに飽きてお腹がいっぱいになってしまいます。(=飽きっぽさ)
ですが、美味しくできた料理にその場でハマって、お腹がいっぱいなのに何回もおかわりして後悔することもあります。(=過集中)
食べられない理由は発達障害の「感覚過敏」!?好きな食べ物にも特徴が
味覚過敏にあらわれる、好みの極端さ
発達障害者には感覚過敏とも呼ばれる、五感の感覚エラーの傾向があらわれることがよくあります。
そのため、口内への味の刺激が強すぎたり、逆に人よりも物足りなく感じてしまったりするのです。
ASD(アスペルガー)の人に多い特徴とも言われていますが、発達障害は「あなたはコレ!」と明確に区別できるものではありません。
ADHDの人にも、発達障害の診断を受けていないに人も、「ASDの傾向が強く見られる」場合はあります。(その反対で、ASDの診断を受けている人にADHDの傾向が見られることも!)
わたしはお菓子やデザートが嫌いなわけではないのですが、あまりにも甘味が強かったり量が多かったりすると「甘さに口のなかが征服される」ような感覚になります。
(甘さが控えめな和菓子などが好きです)
また、少しの辛味じゃ物足りず、友人と「激辛」を求めて食べに行ったりも。
甘さや辛さなどは、受け取り手によって特にその評価が変わる味覚なのではないでしょうか。
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味だけじゃない!口内の感覚過敏は「食感」にも左右される
わたしはあんかけなどの「トロッとしたもの」だと、舌にまとわりつくような感覚がしてあまり食べられません。
しかしその一方で、海ぶどうや茎わかめなど、「食感が好き」でお気に入りの食べ物もたくさんあります。
ある時、「自分は味をあまり感じられてないかもしれない」と気づいて不安になったこともありました。
ほとんどの食べ物への美味しさを、食感で判断していることが多いんですよね…!
発達障害者には味覚過敏と同じように、触覚過敏や触覚鈍麻の傾向がよく見られます。
わたしのようにドロドロしたものが苦手だったり、パンなどのパサパサした食べ物が苦手な場合もあるようです。
(そういえば、うまい棒のことずっと「ビート板の味がするから嫌い」って言い続けてる…!)
向こうのお米って炊き方がちょっと独特で変な食感になっちゃってて…。
そのあとはどうなったの?
感覚過敏によるトラウマの可能性も…。
「感覚」と聞くとなんだか抽象的にも思えますが、言葉や理論と同じように脳が処理するデータのことだとイメージするとわかりやすいのではないでしょうか?
感覚が人より過敏だったり、にぶかったりする発達障害者は、「感情」に対しても多くの人とは違う処理の仕方をすることがあるのです。
たとえば、映画やドラマを観てあまりにも感情移入してしまったり、逆に「思いやりがない」と言われてしまったりするのはこのことが原因。
したがって、それが良いことであっても悪いことであっても、人よりも「記憶にこびりつきやすい」のです。
もしもこの記事を読んでいるお母さんのなかで、こどもの偏食に「きびしくしつけたほうがいいのかも…」と悩んでいるかたがいたら、たとえ演技でも大きな声で怒鳴るのはやめてあげてください。
その食べ物や料理を口にするときに、無意識のうちにそのトラウマがよみがえって食べられなくなるケースも多いからです。
今でも中華飯は克服できていないし、あまりお菓子を食べる習慣がありません…。
発達障害者たちにアンケート!それぞれの好き嫌いの原因、推理します!
Kちゃんと話したあと、「もっといろんな当事者の意見も聞いてみたい!」と思いつき、ネット上の当事者会のような役割でもある「オープンチャット」に投稿してみました。
最後に、そのなかからいただいたコメントをもとに偏食の原因と改善法をおさらいしていきます♪
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「食感がニガテ」な口内の感覚過敏編
昔、海苔の匂いがキツくて嫌だった記憶があります。
でも今は匂いよりパリパリ食感がダメです…。口の中にペタペタ引っ付く感じも苦手で…。
海苔がおにぎりににペタッと着いてるやつはそのまま食べます🙆
人前で食べると「なんで?」とよく聞かれるので、めんどくさい時は巻いて食べてます(笑)
”どうせ「なんで?」と聞かれるだろうから一般的な方に合わせとく”って、発達障害ズあるあるですよね!
口内の感覚過敏にくわえて、嗅覚過敏も原因にあるようです。
Nさんの海苔と同じような理由で苦手な人が多いのがトマト。これも、「煮たら食べられる」「プチトマトなら食べられる」と人によって”食べ方”を工夫していることが多いですよね。
まずは、どうして食べられないのか。そして、どうしたら食べられるのかを、Nさんのように知ることからはじめてみましょう!
パサっとした食感と独特の臭みがとても苦手で…💦
今でも一応頑張って食べられますが豚肉は臭みが強いのでとても苦手です😭
あとフルーツは苦手な物が多いです。
バナナのぐにゃっとした食感と味が昔からダメです😭
食感が苦手な食べ物を克服するには、調理法が大きな鍵を握っています!
お肉も調理法によって食感が変わる食材のひとつ。ホルモンも「噛み切れない」と苦手な人も多いのでは?
柔らかく低温調理をしてみたりと、パサパサ感のない料理に仕上げてみるのがいいでしょう。
また、バナナなどはもしかしたらマフィンやクッキーなどに混ぜ込むと独特の「ぐにゃっと」した食感が消えて食べられるようになるかもしれません。
「味がダメ!」な味覚過敏編
ザクロとびわも雑味というか遠くの方で苦い味わいがあって食べられません💦
味の違いは分かるけど、美味しい不味いを意識する事が少ない。
少し前までは仕事が忙しいのもあり、手軽な菓子パンで朝昼の食事を済ませたりしてた。
カロリーメイトでも構わないけど、最近は栄養バランスを考えるようになってきた。食に対する執着があまり無いので、料理が出来ない。
味を感じすぎる味覚過敏。そしてその反対で、味をあまり感じられない「味覚鈍麻」の2パターンがあります。
また、同じように「食欲」への感覚もありすぎる人となさすぎる人がいるようです。
どうしても食べられないものは、無理に食べなくても大丈夫!
その食材を克服することにこだわりすぎず、栄養素を代替えできるレシピを調べてみると◎です!
「ニオイが無理!」な嗅覚過敏編
嗅覚も「美味しさ」を判断するための重要なポイント。
わたしたちの過ごす日常には、実は意識していないところで常にいろいろなニオイが混ざっています。そこで、外食に行くときなどは前後の時間にマスクをつけておくのも効果的なようですよ!
嗅覚は人間の脳にダイレクトに届く器官なので、必要以上に「そういうイメージ」を思い浮かべてしまう場合もあります。
また、食材のニオイは、産地によって変わることも多いです。ご飯屋さんでちょっと変わったメニューのものがあったら思い切ってチャレンジしてみると、突然「当たり」が見つかる可能性も…!?
「ネギ類とにかくダメ」編
でもゴーヤは大好物で「なんでネギがダメなのにゴーヤはいけるの???」とよく言われます。
なので、うかつに市販のサラダとかを買ってきて食べられません。
あと、長ネギも無理です…!
味付け、加熱してあればまだ和らぎますが、生だとちと辛いですね…。
アンケートをとっていちばん面白かったのは、「ネギ系」が食べられないという声の多さでした。たしかに、刺激性のある味やニオイ(味覚過敏と嗅覚過敏)、ぬるっとした食感(口内の感覚過敏)と、ニガテ要素が三拍子揃ってますもんね!(笑)
料理に入っている確率も高く、嫌いな人は苦労しそうです。
ネギや玉ねぎに含まれる刺激性の「硫化アリル」は熱に弱いのが特徴。なるべく自分で調理せずに苦手意識を減らして、加熱した状態のものだけを食べるようにすると克服できるかも…?(玉ねぎを切ると涙がでるのもこの成分が原因です!)
たとえば作ってもらったり、ご馳走してもらった料理に使われていて食べられない場合は、「言い方」を意識してみるといいかもしれません。
無理をして食べなくとも説明の仕方を工夫するだけで、かえって相手にとっても「実は私はこれがニガテで…」という話題づくりのキッカケになる可能性も。
偏食は克服しても、しなくてもいい。大切なのは栄養をきちんと摂ること!
偏食が多いのは、けっして本人のワガママや、「親の育て方が悪い」わけではありません。
一つ一つにちゃんとした理由があるはず。まずはそれを理解することで、解決の糸口が見つかるのではないでしょうか。
食べられないものを無理やり食べるより、栄養素を勉強して健康なからだづくりをするほうが豊かな毎日に近づけるはず…!
たとえば、漫画や映画などで食にまつわるエピソードを知ってみたり、身近な同じ悩みを抱える人に相談してみることで、自分の中の「美味しい気持ち」を育てていきましょう!